笑い声と、水の音。
水が光って、また笑って。
まだ冷たいね、と言い合った。
「わ、お姉ちゃん洋服だ、珍しいー」
晴れた空の下で、長い髪を押さえながら、スズカが目を細めた。
「たまにはね。――似合わない?」
黒髪を靡かせて、姉のワカバが言う。
いつもの落ち着いた着物とは違い、ロングスカートをはいて、白いブラウスを着ていた。手にはバスケット。
「ううん。似合うよー」
微笑んで、スズカが言う。
お姉ちゃんがそういう格好してるの見るの久しぶりー、というと、そうかしら、と返って来る。
「で、今日は何処行くのー?」
「そうねぇ。少し、暑いし。川でも行かない?ね?」
幼い頃からのくせで、分かった、と反射的に頷く。
珍しく、二人で遊びに行こう、と姉が言い出した。
お菓子を持って、お話して。
いいよー、とその時も頷いた。
(お姉ちゃんには、どうも逆らえないんだよなぁ)
頷いた後、自分に少し苦笑する。
何時までも、自立が出来ない。
しばらく、それを考えたけど、まぁ、いっか。と思う。
姉についていくと、小川につく。
この間、散歩していると見つけたらしい。
足をつけると、まだ冷たい、と少し二人でむくれた。その後、笑った。
ああ、姉妹だなと。ふと思う。
(血、かぁ)
思って、ぼんやりと水に足をつける。
「・・・つめたーい」
「あはは」
笑って、妹の頭をなでる。
むー、とむくれた後、お菓子は?と首をかしげた。
姉は、ちゃんとあるわよ、とクッキーを取り出した。
「おいしー」
「ねー」
何をするでもなく。ぼんやりとしていた。
たわいもない会話をして、笑って。
寒いから、帰ろうか?そういわれて、うんと頷く。
帰り道。
「お姉ちゃんー」
「んー?」
「楽しかったねー」
「そうね」
お互いを見て、笑いあった。
笑って、笑って。
またこようねって言い合った
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