ある晴れた日。
正直、少しだけ暇だった。
レトルトは、ぼーっと座っていた。
少し、暇だ。
する事もとくになし。
思わずうとうとしてた時だった。
「・・・ん?」
足元で戯れる、イタチと猫が居た。
「お、カレー、シチュー」
尻尾をゆらゆら揺らし、レトルトは笑顔になる。カレーがイタチ、シチューが白猫だ。
足元で戯れる二匹を見ると、レトルトの眠気は吹っ飛んだ。
二匹をひょいと抱き上げる。毛皮を通じて伝わる温もりにしばらく和んだ。
「お、そうだ」
二匹をおろすと、しばらく戸棚をごそごそする。
不思議そうに見上げる二匹に向かって、差し出したのは。
・・・顔。
驚いて、鳴き声をあげる動物たちを、レトルトは撫でる。
ついでに、この顔は、レトルトがこの間とある店で買った・・・らしい。
「可愛いなぁ」
撫でくりまわす。目を細めて、微笑んだ。
おろして、今度はボールを投げてやる。
カレーとシチューが取り合うようにじゃれた。
「喧嘩するなよー」
言葉をかけながら、また笑った。
しばらくして、ペットフードを手に乗せて二匹にえさをやる。
一心不乱に食べる二匹と一緒に、和やかな時間。
さっきまで、暇だなぁと思っていたが、今は充実した笑顔になる。
ぎゅーっとしてみると、やっぱりあったかい。
日差しにも促され、また眠気がする。
レトルトが横になってみると、ペットたちがおなかにのる。
そのまま、眠ってしまった。
「レトルトちゃん、居るなぁ~ん?」
「・・ぅぁ?」
エフィの声がして、目が覚めた。
気づけば、もう夕方だった。
見ると、動物たちはまたじゃれていた。
それをみて、また笑って。そして玄関まで行て、ドアを開ける。
「やっほーなぁ~んv」
「よう、エフィ」
「これ、上手く出来たからおすそ分け中なぁ~んv」
手に持ってるのは、クッキー。確かに、いつものエフィの料理(?)に比べれば、綺麗だ。
「お、ありがとうな♪」
笑って受け取ると、エフィは奥を覗いた。
「あ、猫ちゃんとイタチちゃんなぁ~ん♪」
「エフィもだっこしてみるかー?」
「なぁ~ん♪」
エフィは、目をきらきらさせて、二匹をなでる。
レトルトは、微笑してクッキーを口に運んでみた。
味は・・・よくも悪くも、なく。
ゆっくり休めたし、楽しい一日、だったな、とふと思う。
そして、エフィにそろそろ日が暮れるぞーと声をかけた。
エフィは、その声に反応して、ありがとうなぁ~んまたなぁ~んと言うと、帰っていく。
手をふり、それを見送った。やっぱり、楽しかったなと思った。
夕焼けが、部屋を照らす。
自然の色に目を細めて、また笑った
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