もう一年も終わりそうで、寒さは増す。たまに、暖かくなるが、それも次の日には御しまい。また寒くなる。
きっと、もう少ししたら、雪が厚くつもり、交通の不便に渋い顔をする人と、雪遊びが出来ると喜ぶ人で分かれるのだろう。
自分は、あまり外に出たがらない性質だと自覚はしている。それに、こんなにも寒いのだ。家でぬくぬくと過ごしていたい。
そう思ってエリザベスは、自室で椅子に腰掛けて、特に何をすべきではなく、ただ前を見つめていた。聞こえるのは、ストーブの中で火が燃える音だけ。寒いと何もする気になれない、というのは本当にいいわけで、正直彼女はいつもやる気はなかった。けれど、最近は特に、だ。
やがて、椅子から立ち上がり、ベッドにぱふっ、と倒れる。そして目を閉じた。周りは、自分の瞼にふさがれて見えなくなる。
大切な人達と一緒に居ると、心の隙間は簡単に埋まってくれる。大切な人達のさり気無い仕草が、日常が、何よりの宝。そう気付くのは、自分が思い悩んだ後。その薄情さに苦笑しながらも、自分だけではないさ、と開き直る。
そうして、答えの出ない問題を探した。
これは、自分の問題であり、自分の弱さが問題なのであり、誰にも迷惑を掛けてはいけない。
そうは思っているのだけれど。頭では分かっているのだけれど。
その弱さがついつい弱音となって口から吐き出る。
本当に、自分の弱さは、情けない。
だけど、仕様がない、とすら思う。
――どんなに弱くても、脆くても。・・・それが、自分なのだから。
唇を噛んだ。涙だけは流さない。結論が出ない問題を必死で答えを探して、それが分からないからといって、泣く真似だけは、しない。
何故なら、この問題に取り掛かったのは、他でもない自分だから。
悲劇にしろ、喜劇にしろ。
これは自分の選んだ道。
しっかりしろ、と自分に言い聞かせた。
やがて、ベッドから起き上がった。乱れた髪を整え、目を開いた。
そして、呟く。
「・・・ま・・・これは後回しで・・・やる事だけはやらないとね」
小さな声が自分の耳に入り、そして他には誰も聞こえない。
それを聞いて、また笑った。
あと少し。
あと少しで、雪が積もる。
それまで、自分がせめて答えを見つけられる、ように。
そう願った時、窓の外で風が吹いているのに気付いた。
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