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夢を見ていよう。何時か醒める其の時まで。 (TW3「エンドブレイカー!!」で活動しているキャラクターと、その後ろががやがやと活動するところです。 間違えてきてしまった方は、回れ右を推薦します)
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学生やってます。
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 このブログのイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW1:無限のファンタジア』『TW3:
エンドブレイカー』用のイラストとして、背後が作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は発注した背後に、著作権はイラストマスターに、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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 二人きりで居るのが当たり前だったから。
 だから、何も気付けなかったけれど。
 ――きっと、お互い歩いていけるから。






「鈴、此れはどうするの?」
「え?・・・あ、其れはね・・・。・・・うーん、どうしよ?置いてくねー」
「はいはい。貴女の部屋はそのままで良いのかしら?」
「そうだね・・・一応、其れでお願いするんだよー」

 ばたばた。
 ばたばた。
 ・・・ずるぺたーん。

「あらあら・・・」
「うう・・・」
 何時も通り、派手に転んだ妹を、姉がくすくすと笑いながら手を差し伸べる。
 スズカは其れを躊躇いなくとると、起き上がった。
「ありがと、お姉ちゃん」
「どう致しまして。・・・けれど、其れであちらに迷惑かけないのよ?」
「うー・・・わかってるよぅ」
 けれど、何時もと違う事。
 大きな段ボール箱。
 見るからに、其れは引越しの準備だった。然し、其れは一家全員、と割には少なく、せいぜい一人分のものだった。
 ワカバは、何時もの笑顔を浮かべながら、小首を傾げる。
「けど・・・貴女が同棲する日が来るなんてね・・・」
「う、あまり言わないで、お姉ちゃん。・・・恥ずかしいから」
 真赤になって、髪を弄り始めるスズカに、くすくすとワカバは笑う。
「あらあらまぁまぁv」
「~っ・・・・あんまりからかわないで、おねえちゃ・・・」
 へにょ、と俯く妹の髪を、ワカバは優しく撫でた。
 自分の髪とは違い、光を受ける度にきらきらと輝く琥珀色の髪の、変わらぬ感触に、口元を緩めた。


 ――お姉ちゃんの髪は、いいな・・・。



 ふと、思い出した言葉。
 あれは何時だったろうか?
 妹が、そんな事を言いながら、自分の髪を櫛でとかしてくれていた。


 ――あら、何で?

 ――綺麗だから。すっごく。

 ――鈴のも綺麗よ。

 ――・・・そんな事、無いよ。



 嗚呼、あれは故郷に居た頃だった、と思い出して、そっと瞳を閉じる。
 母は都市国家を回る魔曲使い。
 だから、黒髪黒目しかいなかったあの東方の都市に、自分達のような藍色の瞳をもった、そして妹のように琥珀色の髪を持った子どもが生まれた。
 元々、故郷では優遇されていたとは言い難い妹にとっては、他の人と違う自分を嫌っていた。

(私は・・・羨ましかったのだけれど)

 ワカバは幼い頃、母を慕っていた。
 貴族の跡取りだったからなのだろう。
 外へ出られないから、外を知っている母を尊敬していたし、愛しても居た。


 ――外は、色んな未知が溢れているのよ。


 何時か、楽しげにいった母の笑顔。
 何時も、丁寧すぎるくらい丁寧な言葉遣いを心がけていた母も、自分の旅路を振り返る時は其の口調が崩れた。


 ――知らない世界、知らないものが溢れているの。
 ――色んな人が居て、でも其れが世界の全てでも無い。
 ――不思議ね。
 ――でもね、やっぱり悪い考えを持つ人も居るけれど。
 ――思うのよ。

 其れでも、

(其れでも、世界は綺麗・・・。・・・そうよね、母さん)
 母が信じていた事。
 そして、今。
 自分が、妹が信じている事。

 ワカバは、瞳を、薄く開けた。

 あれから、二人になった。
 二人きり。
 きっと、独りぼっちよりも性質の悪い"二人ぼっち"だった。
 けれど・・・
(其れも・・・お終い)
 依存何て、してないと思っていた。
 けれど、誰よりも依存していたから。

「――・・・」
 無言で、妹がつけている、何時かあげたリボンを撫でた。
 なぁに?、と訊ねる妹に、何でも無いわ、と微笑みかける。
 そして、妹が編みこむようにつけている細いリボンを撫でる。

 違う道に。
 違う歩み方に。
 ちょっと、心配だけれど。
 私はもう、此の子の母代わりにも、友達代わりにも、ならなくて良いのだから。

(妹を、宜しくお願いしますね――・・・)
 此処には居ない人に、呟いて。
 柔らかく、微笑んだ。
 

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