悩みだしたら止まらなくなる。
悪い癖だ、と呟きながら苦笑した。
自室で、エリザベスはため息をついた。
読んでいた本を閉じる。
最近は解いているけれど、長い髪を三つ編みにしようか、と思い立った。太ももまである焦げ茶の髪が鬱陶しくて邪魔だった。
勿論、のばしているのは自分の意思だが。
丁寧にするつもりはさらさら無く、適当に紐を取り出してそれを口に咥えて鏡の前に行く事もなく、髪を三つ編みにする。
それを始めたとほぼ同時に、ドアがノックされた。
紐を一旦机に置く。
姉様かな、と思いどうぞ、と言う。
ドアが開かれて其処にいたのは。
「・・・何しに来た」
「・・ひ、酷いのですっ」
ふわふわの琥珀色の髪が揺れ、青紫の目が潤んだ。
同じ冒険者の、スズカだ。
「ベスに会いにきたのですよー?リリアさんが通してくれたのです♪」
「・・・・。・・・・これから、姉様には得体の知れない奴をボクの部屋に入れないで、って頼んでおこう」
「え、得体のっ・・・!?酷いのですっ」
知るか、と吐き捨てて本をまた開いた。三つ編みの事はもうどうでもよくなってきた。
「むぅ~。酷いのですっ、ですっ」
「煩い」
「折角元気が無いベスちゃんの為にチョコレートケーキ焼いてきたのに~。いいのですっ、自分で食べちゃいますからっ」
ぴくり、と長い耳が動いた。
「・・・少しだけならいていいよ」
「わ~いv」
あはは、とスズカは笑うと、手に持っていた箱からチョコレートケーキの大きい二切れを取り出して、その内ひとつをエリザベスに渡す。それを受け取ると、エリザベスは無言で食べた。
「おいしいですか?」
「ん」
スズカは満足げな笑顔を浮かべて、自分も部屋の隅にぺたん、と座りもぐもぐとケーキを食べる。
しばらく、無言の時間が続く。
「・・・ねぇ」
「みぃ?」
エリザベスが唐突に口を開いた。スズカは首をかしげる。
「何ですか?」
「・・・悩んだ時は、どうすればいいのかな」
その相談に、少しだけ目を見開いて、その表情の変化もすぐに消して、いつもどおりの笑顔でスズカは言う。
「知りません♪」
「いうと思った・・・この薄情者」
「そのお言葉、そっくりそのまま御返しします」
二人が笑顔でしばらく黙りあい、その間流れた殺気めいたものを追い払うかのようにスズカがいう。
「・・・まぁ、でも。・・・・失くした時に分かるような事にはならないようにね」
乾いた笑みで、いう。
「・・・失くした後じゃないと、気付けないものは多いけど。・・・それを、気付かないように。掌のものを守れるように」
エリザベスは、それを聞いて微かに笑った。
「最善は尽くすよ」
「なのです~♪」
いつも通りにスズカは笑うと、もうそろそろ帰りますね、とチョコレートケーキの残りを全部口に詰め込んだ。
そして、ドアからぱたぱたと出て行く。
「・・・失くさないように・・・」
それを見て、小さくつぶやいた。
気付けるだろうか。
・・・・分からない。
風が、窓の外で吹いた。
ちょっと書いてみたかっただけですっ・・・・スルーしてくださいっ←
この二人は似てるからっ・・・うん(?)
・・・スルーしてくださいorz(嗚呼
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