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――其れを確認すると、
ふわり、と長い髪を靡かせて彼女は自分の部屋へと戻った。
障子を閉める音。
其れを聞き届けると、スズカは強く瞳を閉じて天井を仰いだ。
「―――・・・・・」
何かを言葉にしようと思ったが、結局やめた。
何も言葉に出来やしないのだから。
ずるずると、力が抜けたように、障子を背に座り込む。
ぺたん、と座り込んだ後、疲れたように着物の裾で顔を覆う。
「・・・ばか、」
小さく呟いて。
そして、嗚呼、馬鹿は私だ、と苦笑した。
気付けなかった自分を呪った。
だからこそ、護るといった。
護ると誓った。
其れなのに、
「此の様ね・・・・。情けないわ」
眼を小さく開いた。夜闇のような藍色の瞳が、灯りもつけない天井を捉える。
ふと、幼い日の事を思い出して、また苦笑した。
あの時から、成長などちっともしていなかった。
其れなのに、大きくなった気でいた。
「私は、・・・馬鹿ね」
――彼女は、優しすぎた。
だからこそ、好きだったのだか。
そんな彼女を護ろうと思ったのだが。
結局、出来なかった。
「――・・・・」
再度、瞳を閉じた。
伸ばしたと思った、宙をきった手を、隠すように手を下ろす。
「さよならは、言わない・・・」
言いたくないから。
だから、
「・・・どれだけ離れてても」
例え、逢えなくても。
「・・・・・・・私が貴女を、護るから・・・・・・・・・・」
此の祈りは、誓いのような狂言は。
届くのだろうか?
分からない。
其れでも――
子守唄のような旋律が聞こえる。
滅多に歌わない彼女が、音楽が好きな彼女に贈ったオルゴールの旋律だった。
――分からない。
分からない。
其れでも、
(届く、って)
そう、信じて――