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≪リプレイ≫
甘い御菓子を、大切な人と食べるのは楽しい事だろう。
愛しい人であったり、家族であったり、友人であったり。
それぞれ違うだろうけど、贈るのは同じ想い。
「ん・・・・」
台所で、優しき暗闇・エリザベス(a62946)がチョコと睨めっこをしている。
「・・ココで作って、ココであげても芸がないなぁ。よし」
台所を出ると、団員達は其処で寛いでいる。
「皆ー!出かけるよっ!草原とかでも行かない?・・・其処、寒い言うなっ!」
「意味をよーやくすると、皆で草原で御菓子食べましょうとー?」
桜蘭花・スズカ(a62807)が首をかしげた。
「何で分かった」
「チョコと睨めっこしてたから」
「・・・・・」
まぁいいと思い、皆を見る。
「大好きな人にあげたり、ね。・・・団長はちゃんと全員分作るからね?」
一緒に行かない?と笑顔で尋ねた。
――――――――――――――――――――――
●ぽかぽか日向の散歩道
お菓子を食べると幸せな気分になる。
それはきっと、みんな一緒だろう---
「チョコレートかぁ・・食べるのは好きだけど、渡す相手はいないなぁ」
空色幻想詩・レキサ(a71171)は、みんなでお菓子を食べる為に、草原へ向かう途中苦笑しながら呟く。
でも、みんなと一緒にチョコを食べようっとすぐに笑顔になった。
「・・・・・・・・・」
月下の戦華・ファインディア(a63634)は、表情をかたくなにさせつつ、歩を進める。
「この時期の暖かい草原でお菓子を食べる…。ん~、何とも惹かれますね~」
ファインディアとは対照的に、月下黎明の・アオイ(a68811)はのほほんと笑顔で言う。
「お菓子ですです~v」
「走ったらこけるわよー」
桜蘭花・・スズカ(a62807)と唄をあなたに・ワカバ(a62808)の姉妹が声を掛け合いつつ互いをリードしようと歩く。
そんなみんなの様子を見つつ優しき暗闇・エリザベス(a62946)は微笑した。
軽く相棒に目を向けると、その後は姉の忘却の悪夢・リリア(a63428)に声をかける。
「姉様、ボク、ちょぉっと女性恐怖症さんの相手してきますね。転ばないでくださいね」
「・・・・・・・・・ころばない・・けど。・・・わかったわ」
リリアが頷きつつ言った。エリザベスは姉に微笑して見せると、相棒に駆け寄る。
「・・・・・・・・で?キミ。折角なんだから、アオイさんよりに行かない女性のとこいけ」
「・・・・ああ」
「・・・・・・・」
エリザベスはやれやれというように首を振る。
やがて、仕様がないなぁと微笑むと、今度はみんなに話しかける。
●甘いお菓子と優しさを
しばらく歩き続けると、そこは草原だった。
草のにおい、日向のにおい。交じり合って、優しさのにおい。
レキサは、まだまだ寒いと思ってたけどここは暖かいなと目を細める。・・・まぁ、まだ寒いけれど。そう思い少し苦笑した。
そしてお茶の準備を始める。
アオイは、献身的に嬉々と手伝いをする。クラハシ姉妹も、レキサもみな、笑いながら準備をする。離れたところで、ファインディアも手伝いをしていた。エリザベスはやれやれと口の中でいい、姉に向き合ってどうしましょうか?と呟いた。
「・・・・・・・・まぁ・・・・・・貴女しだい・・・・・ね」
「はーい、お姉さま」
「何のお話ー?」
レキサが首をかしげた。
「わ、何でもないよっ・・・別に姉様の前だけデレキャラってわけではっ」
ああもう何いってんだボク。小さく呟きながら軽く落胆する。
「お茶の準備が出来ましたよ~」
丁度、アオイがいう。
アオイは、チョコレートにあったお茶を持ってきていた。本格的な茶器は無理だから、と手ごろなティーカップで。
「お茶も持ってきたのですが、如何ですか?」
みんなは喜んでそれを受け取る。
お茶はいい香りを放ち、暖かい気分を高揚させてくれた。
「私はこれ、もってきたよっ」
レキサは、アーモンドをまぶした、一口サイズのチョコレートを見せる。一人三つ、食べれるように持ってきてくれていた。
「じゃあ、私たち姉妹からはこれを~」
クラハシ姉妹は、手作りのチョコレートマフィンを置く。
「・・・・・・・・私は・・・・」
リリアもトリュフを取り出した。
「わぁ、すごい。みんなおいしそうだねー」
「・・貴女・・は?」
「あ、ごめんなさい姉様。いますぐだしますねっ」
少し焦って取り出そうとする。・・・・その際に、包みが二つ見えたのはきっと気のせいだ。やがて、エリザベスが手作りの生チョコを出す。
実はファインディアは、チョコを持ってくるなと団長(注:またの名を独裁者)に言われていた。エリザベスはそれを見て少し微笑する。
甘いお菓子と、お茶の匂いがみんなの食欲を注いだ。
●笑顔とぬくもり
口にいれ、チョコはとけて広がる。
お茶はそれを更に広がらせた。
「美味しいっ」
誰の口からも自然とその言葉があふれてきた。
「・・・・・・・・」
ワカバは、しばらく離れて暮らしていた妹と話をしていたが、やがてこっそりハンカチを取り出し、自分の分から相棒の為に少しチョコレートを包む。元気になったら、渡そう。・・・・いつになるかわからない、かなり無謀な計画だが。一緒に食べたかった。
妹は、そんな姉を見て少し微笑んだ。
そして、何食わぬ顔で会話を再開する。
「やっぱり美味しいねっ」
「甘くて美味しいですね~」
レキサとアオイも、お茶とチョコを口に運びながら、満足げに微笑した。
暖かく、少し眠いほど、優しい時間。
少しの休息は、冒険者にだって必要だ。
一人きりの、休息は嫌だったが。
みんなが笑顔で会話をする。優しい時間。
そんな中、エリザベスは相棒を小突く。
「ちょっと来い」
「?」
出来るだけアオイorエリザベスの近くにいたファインディアはエリザベスの言われるがまま、少しみんなと離れて彼女と話をする。
「はい」
「!」
渡されたのは、丁寧にラッピングされた
「チョコ・・か?」
「ほかに何があるの?」
ぶっきらぼうに、相棒が言う。
「そうだな・・・。ありがとう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。中身、クッキーだから、心して食べる」
「あ、ああ・・・・」
上手く伝えられなかった気持ち。
でも、お菓子にはありがとうをつめて。
やがて、二人はみんなのもとにもどった。
食べ終わり、少し遊ぶと帰る為の準備をする。
アオイはまた献身的に働く。ボクがやるから、といっても好きでやってますからと笑顔で返ってきた。
少し肌寒い頃だが、変わらず暖かい気持ちを持って、レキサが手伝いをする。
クラハシ姉妹も、リリアもそれを手伝い片付けまでも楽しかったピクニック。
「・・・・・・・・」
帰り道。
少し影が伸びる道。
エリザベスはかすかに微笑した。
言葉には出ないけど、ここにはいない人も、いるけど。
ありがとう。
・・・・キミたちへの、感謝をこめて。
暖かい笑顔と、甘い菓子。
優しい時間と、優しい香り。
感謝の気持ちをこめて。
冒険者の休日