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●山へ行こう
暖かい日差しが降り注ぐ。
・・・正直、きのこさえ無ければ完璧な日。
「出発なぁ~ん!!」
気合をいれ、頑張り屋さん・エフィ(a66827)がメンバーに言う。
「・・天気、悪くならねぇよな」
ぽそっと呟いた動物看護士・レトルト(a67659)。雨が降り雷が鳴れば恐らく犠牲になるだろう彼。死亡フラグ何て冗談だろ、と独り言。
「(それにしても…浄化作戦中は、こんな平和な時間が過ごせるなんて思わなかったなぁ)」
緊張が続いた作戦の後の安らぎに、改めて感謝をする。
「さーて、行きましょうか♪」
楽しげに彷徨う自由の風・ヴィリ(a67593)が言う。
予め山の植物の勉強などをして、それなりに楽しみにしていたヴィリの声は自然と弾む。
青色蜃気楼・シア(a64514)も胃薬という名の万能薬を持参して、楽しげな表情を作る。
「ぇぇと、とりあえず私お弁当と和菓子・・お饅頭作ってきたので~」
エフィの保護者としてやってきていた桜蘭花・スズカ(a62807)が、楓華風の弁当箱と饅頭の入った箱を指差しながら言う。
幸福を祈る医術士・ユキ(a72129)が皆楽しそう、と楽しげに笑いながらも友好だからと一歩引いている。・・・引いているが。
「ユキちゃん何してるなぁ~ん?」
「ひいてたらだめですよぅー、ユキさん」
団長+団長の保護者(友好人)がすぐさま前に引っ張る。
皆友達、がモットーだ。
「じゃあ、皆荷物全部貸すなぁ~ん!!」
なにやら山賊の台詞に聞こえるかも知れないエフィの台詞にレトルトが提案をする。
「山に着くまでいつでもフワリンに荷物乗せないか?荷物持ってたら疲れるだろ?どうせ疲れるなら目的地でめいっぱい遊ぶ時にな。エフィもフワリンに乗るか?」
「いいなぁ~んね!乗せてなぁ~ん!!」
結局、レトルトと補助的にスズカとユキのフワリンに荷物を乗せ(エフィも乗ってるがエフィは荷物じゃないのでそのへんよろしく)山に向かう。
・・・といっても、裏山なので眼と鼻の先だが。
秋に秋の味覚をとりに来た時とはまた違う景色だった。
花や、木の様子が違うと、空気や場所まで変わってくる気がする。
春の暖かな日差しに眼を細め、歩を進める。
途中フワリンが消えたりまた出したりを繰り返しながら。・・・あまりの暖かさに忘れていた。
この山は普通じゃない、という事実を。
じゃーん(効果音)
●その前にお弁当
「・・・・・・・・」
しばらくすると、体力が無いらしいシアが疲れきってしまったらしい。
丁度、そのすぐ近くに桜や花がきれいな景色の場所があったらしく、レトルトが
「腹減ったなぁ。弁当食おうぜ?」
と提案をする。
皆賛成し、ヴィリが持ってきていた丈夫なロープとシートで簡単に日よけを作り、昼食にした。
ハムチーズ、ツナ、キノコ、カツのサンドイッチを3つずつ、そしてイチゴとクリームのサンドイッチをヴィリが広げる。皆に分ける為に持ってきたサンドイッチを差し出しながら言う。
「キノコにはあたりがひとつありますよ。どれがあたりかって?自分で分かりません」
・・・この一言で、全員の目に真剣さが宿る。
しかし、その前にほかの人たちの弁当も広げる事にした。
「ぇぇと。とりあえず、定番メニューと・・・から揚げ作ってきましたー。お菓子にお饅頭持ってきたのですよ♪」
スズカが微笑しながら、大きな楓華風のお弁当箱を広げ、その横にやや大きめの箱を置き開く。中には、手の平サイズの黒糖饅頭と普通の白い饅頭が入っていた。
レトルトも、おつまみにピーナッツ、焼酎、子供用に果実ジュースを持ってきており、それを置く。
ユキも、ハーブティと、どこからともなく緑茶を差し出す。
「美味しそうなぁ~ん♪食べるなぁ~ん♪」
エフィが眼をきらきらと輝かせて言う。
「ユキさん、このハーブは何の種類なのですかー?」
「秘密、です♪」
スズカの質問に、ユキが笑顔で答える。
そうして『平和な』昼食は幕あけられた。
皆は楽しげに談笑しながら、弁当をつまむ。
・・・・キノコサンド以外の。
しかし、このままにしておくわけにもいかない。
なので、じゃんけんの結果、エフィとレトルトが食べることに。
ぱく。
「・・・・何ともないなぁ~ん」
「俺かなぁ~ん」
あたりは、レトルトのようだ。
「さぁ、これで無くなりましたね。安心して食べましょう」
「だな」
ヴィリの一言で、昼食再開。
「あの、あれだいじょぶ何でしょうか・・・」
「どうなんでしょう・・・」
そんな中戸惑う師弟が居るけど、気にしない。
そんな中、シアが一言。
「あ・・・・。すまん、万能薬六つしかない」
時がとまったように・・思えた。結局、レトルトに使って後五回しか回復できないわけで。
それでも賑やかさに笑って、花が散る。
ユキはほぅ、と散る花びらに眼を細めた。食べるのも忘れて花に見とれている。
「ん~、うまい」
から揚げをほおばり、レトルトが声をあげる。
皆、目を細めて楽しげに弁当を食べる。
デザートまで食べると、さて。本題だ。
●キノコ探し
「皆!!今深刻な問題があるなぁ~ん。なんと、旅団にヒトノソダケが少ししかないなぁ~ん」
何が深刻な問題だ。
ツッコミたい衝動はおいといて。
そんなわけで、キノコ探しが始まる。
「あ、キノコですー♪」
怪しいキノコでも、関係なしにユキはもぎゅもぎゅ。
「うっ!?」
「きゃー!?ユキさんっ?」
スズカがあわて、シアの万能薬(後四つ)。どうやら、本気で毒きのこだったらしい。
シアはふらふら歩きながら
「あ、キノコ。あ、トリカブト」
そんなことをいい、そしてエフィが回収していく。
ヴィリも、眼を光らせつつ、水場を見つけそちらに向かった。
水浴びなので、小鳥たちがいる。魅了の歌を歌い、ヴィリは動物たちと話をした。
「皆さん、あちらにキノコがたくさん生えてるらしいですよ」
ヴィリが動物たちから聞き出した情報をいい、そしてその後手なずけて小鳥と遊ぶ。
「鳥さんなぁ~ん」
のほんとエフィが言う。しばらく鳥たちと戯れた後、教えてもらった道を行く。
「・・・・・・・」
「シアさん、大丈夫ですか?」
スズカが体力が持たないというシアの為にフワリンを召還する。シアはそれに乗っての移動となった。
道中、誰かが怪我をすると、レトルトがヒーリングウェーブをする。・・・それで、ユキは懲りずにキノコをもぎゅもぎゅ。しかし、最初のキノコ以外に毒はあたらなかった。
しばらくすると、
「あ、いっぱいなぁ~んv」
エフィが眼をきらきらさせながら叫んだ。
そこは・・ヒトノソだけの宝庫だった。
「いただきます!」
ユキが言うが、シアが
「万能薬後四つしかないぞー」
といったのが聞こえ、ひとつだけ口に入れる。
「なぁ~ん」
「なぁ~ん」
ついでに、ユキ、エフィの順番で喋っている。
しばらく皆夢中でキノコを集めていたが、レトルトが疲れたのか草原に寝転がり、昼寝をする。平和そうな顔を見ると、皆思わず微笑した。
キノコもたくさん集めたし、ということで便乗して皆で昼寝をする。
うららかな日差しが暖かくて、警戒心も忘れてゆっくりと寝息をたてる。
賑やかに騒いで、眠って。『冒険者』は一時休息して、こういう時間も必要な筈だ。
しかし、皆が安らいでいると。
ぽつ。
「・・・なぁ~ん?」
・・・雨、だ。
皆が雨音に眼を覚ます。
「おや、雨ですね」
「ふえ、さっきまで晴れてましたのに~」
「通り雨でしょうかなぁ~ん」
ヴィリ、スズカ、ユキ(ヒトノソ効果)が言った矢先。
雨はだんだん凄みを増す。
「なぁ~ん!?」
とりあえず、全員で木の下に移動した。山の天気は変わりやすい。忘れていた。
「かさならあるなぁ~ん」
エフィが持ってきていた人数分の傘を差し出す。
「しかし、雷でもなりそうですねぇ」
目線はレトルト。
「俺!?」
「雷は高いところに・・・・」
・・・そういえば、旅団でそういうことを言っていた。
「ぇぅ!?ぁう」
「レトルトさん・・・」
スズカとユキも心配げに見守る中。しばらく騒がしく『青空の家』メンバーはレトルトを弄ろうとしていた。
しかし、通り雨だった為、すぐにやんだわけで。
レトルトが安堵し、弄りメンバーは笑顔。やや天然が入った師弟はあわてたが安堵をした。
じゃあ、かえるなぁ~んとエフィがいい、雨が降った後の山道を行く。
「わ、きれい・・♪」
ユキが言葉を漏らした。
雨のふった後の葉が、日の光を浴びてきらきらと光っていた。
たくさん騒いで、休んで。
いい休息になれたかなぁん、とエフィは皆を見る。
そこで見た、皆の笑顔にエフィは満足して自分も笑顔になった。
「またきたいなぁ~んね」
皆が同意した。エフィは言葉を続けた。
「今度は、新種のキノコを探しになぁ~んv」
またキノコか。ツッコミはおいといて。
争いの後の安らぎ。
皆とまた笑えたことに、感謝を。
山道を降りる。