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お帰りなさい、と言いたいけれど。
・・・・言いたい、けれど。
今日もひらり、ひらり、と舞う。
歌おうかと思ったけれど、止めた。
歌は実は多くは知らない。
小さい頃、怖い夢を見て眠れなかった自分の頭を撫でながら、姉が歌ってくれた子守唄。
其れくらいだ。
あれは、人に歌ってあげる歌なのかもしれない。
だから、歌う気になれなくて。
ふわ、ふわと。
琥珀色の髪を靡かせて。
桜の花弁と共に。
舞う。
舞う。
お帰り、と言いたかった。
言ってはいけない気がした。
「っ・・・・・・」
また、転んだ。
何度目だろうか。
両の膝小僧がすりむく。
「・・・・・・・」
どうせ、今踊っているのは桜花演舞なのだから、と気にせずに立ち上がる。膝がじんじん痛むが、よくなれた痛みだから気にも留めない。
辛くは無い。
只。
「・・・・こんなものよね」
小さく、呟いた。
笑いが込み上げくる。
どんな笑いかは、自分でも見たくは無かった。
また。
舞う。
舞う。
桜と共に。
以前、何故桜が好きかと問われ。
姉の誕生日に近い、花だから姉の花という想いがあるからだと答えた。
其れもある。
けれど。
其れよりも、ずっと。
「・・・・ごめんなさい」
耳について離れない言葉に。
「ごめんなさい」
つかれきった顔に。
「ごめんなさい」
声を喪った彼女に。
「ごめんなさいっ・・・・!」
泣く気にはなれなかった。
泣くのが億劫だったから。
だから、舞う。
桜と共に。
――桜に憧れた。
本当の理由は、